高校地学と地球科学の架け橋

高校地学と大学の地球科学についてまとめているブログです。

【地学】ミランコビッチ・サイクルについて

今回は「ミランコビッチ・サイクル」について記述していきます。地学基礎では発展で扱われ、地学でちゃんと扱わられるミランコビッチ・サイクルですが、初めて学習するときに混乱してしまう生徒が多いと思います。

共通テスト・国立二次試験にも対応できるような知識を付けられるような内容になっております。

ミランコビッチ・サイクルとは

ミランコビッチ・サイクルとは、

『気候に影響を与える地球の軌道に関する3つの要素が変化する周期』

のことです。気候に影響を与える地球の軌道に関する3つの要素とは、

①公転軌道の離心率の変化

②地軸(自転軸)の傾きの変化

③太陽に対する地軸の向きの変化(歳差運動)

となります。それでは早速、3つの要素について詳しく見ていきたいと思います。

 

①公転軌道の離心率の変化

まず、離心率について説明します。離心率とは、「円や2次曲線の形を決める定数」のことです。中心から焦点までの距離をa、短辺の長さをb、長辺の長さをcとすると、離心率eは、e=a/cと表せる。

簡単に言うと、離心率が大きいと横に長い楕円に、離心率が小さいと円に近くなります

 

楕円の離心率

つまり、太陽を中心に公転している地球の公転軌道が、真円に近くなったり楕円になったり変化してしまうということです。この周期は約10万年と言われています。

 

公転軌道の離心率の変化

 

②地軸(自転軸)の傾きの変化

現在、地球の地軸は地球の公転軌道面に垂直な直線に対して、約23.4°傾いています。実は、この傾きは周期的に変化しています。約22°~25°の間を周期約4.1万年で変化します。

地軸の傾きの変化

 

③太陽に対する地軸の向きの変化(歳差運動)

この要素は天文学的には「歳差運動」と呼ばれます。歳差運動とは、『地軸の向きが回転して変化する動き』です。止まりかけのコマのように、地軸がクルクル回転している状態です。周期は約2.6万年です。

実は、歳差運動によって北極星も変化してしまいます。北極星は地軸の先にある星のことで、歳差運動によって地軸の向きが変化するなら、北極星そのものが変わってしまうのです。現在は、こぐま座α星のポラリスですが、いずれ他の星に変わっていきます。

歳差運動は他の2つの要素と比べてイメージがしずらいと思います。そのため、よく受験で問われます。

 

歳差運動

 

氷期-間氷期サイクル

氷期-間氷期サイクルとは、

ミランコビッチ・サイクルによって太陽から受け取るエネルギー量が変化して、地球の気候が周期的に変化する。その結果約10万年周期で氷期間氷期を繰り返している』

ことです。現在、地球は間氷期にあり、次の氷期は約5万年後と言われています。